0011 中央 アタル (83/142)
リュウオウに報告すれば、その杉並ルシエという女も、どの道こちらに引き入れる事になる。
「車で弾いたりはしない できる限りのことはするよ」
俺がそう言うと目黒は何も言わないが、ただ少しだけ唇を緩め、力強く見つめてきた。
許された訳ではないだろうが、目黒はなぜ自分が弾かれたかは、理解してくれている様子だった。
杉並ルシエか。
まだ得体も知れないはずの俺達に、個人の意思で助けを求めるほど、その女に対するゼンイチの扱いは酷いのだとは伝わった。
同時に、目黒にとって大切な女なのかもな。
まあ、ゼンイチみたいな性格の主人なら、女の奴隷に何をするかなんて大体想像できるが。
俺は目黒と別れ、車に戻った。
足立シヲリを見ると、彼女はただ携帯をイジり、黙っている。
車を発進させ、ゼンイチが逃げた方とは逆の方向に走らせることにした。
足立シヲリは相変わらず黙っている。
俺が見知らぬ男を弾いてしまったという、さっきまでの問題は解決したが。
勝負の為とはいえ、平気で人を跳ねた挙げ句にこれだ。
かなり引いているんだろう。