0011 中央 アタル (81/142)

足立シヲリと俺は顔を見合せた。


どういうことだ?ゼンイチはズシオウマルの奴隷のはずだ。


ということは必然的に、目黒もズシオウマルの奴隷となる。


目黒の話では、目黒はズシオウマルの奴隷の、ゼンイチの奴隷に当たる。


奴隷の奴隷なんて、ありえない。


「あ」


足立シヲリが突然、何かを思い付いた声を出して俺を見る。


「中央さんと今日 会った時に話したアレ 新しい主人は30M」


新しい主人は30M?


ああ。


そうか。たしかに足立シヲリと話した。


新たな主人が30M以内にいない場合、前の主人の縛りは継続する。


つまり、ゼンイチがズシオウマルの奴隷になった時、近くに目黒はいなかった。


本来の人間同士のコミュニケーションなら、奴隷にした人間が所有していた奴隷は必然的に傘下にできる。



だが、ズシオウマルは犬だ。



人間の奴隷に、具体的な命令やコミュニケーションがとれない。



そうだ。そこで全てのバランスが崩れたんだ。


バカなはずのゼンイチがどう気付いたかは謎だが、ゼンイチはズシオウマルの奴隷でありながら、目黒をズシオウマルに近付けさせないで、彼を奴隷として扱い続けたんだ。