0011 中央 アタル (74/142)
男は今はまだ気を失っているだけのようだが、このタイミングはまずい。
しばらく走った所にコンビニを見つけ、そこの駐車場に車を止めた。
「あの コーヒー買ってきます」
ギアをパーキングに切り替えると、足立シヲリが静かにそう言った。
「ああ」
彼女が車から出ると、俺はハンドルにオデコを着けて目を瞑った。
なぜか分からないが、急激に眠い。
後ろの男を病院に運ばなければ、SCMの勝負どころの話ではなくなる。
だが早くゼンイチを追わなければ。
いや、追って会ったら俺はあいつの奴隷になる。
俺が負けた判定の瞬間、ギリギリあいつは30Mの外まで逃げていた。
だからまだ俺は、リュウオウの奴隷のままではある。
しかし、このままやり過ごしても24時間後にペナルティが起きる。
「ハッ ハア」
俺の呼吸と男の呼吸が重なる。
どうしたら。どうしたらいい。
今にも叫びそうだ。
クソ!
ガッ
俺はハンドルに自分の頭をぶつけた。
ガッ ガッ ガッ
クソ!クソ!
可能なら30分前に戻りてえ!
ちくしょう!俺はなんで車で弾いて、ゼンイチを追い詰めようとした!
女がいたから調子こいたか!
「中央さん!止めてください!」
車に戻って来た足立シヲリが俺を止めるが、俺は何度も頭をハンドルにぶつける。
足立シヲリは必死に俺の肩を握って、俺を止めようとした。
クソ!クソ!クソ!
面倒くせえ!マジ面倒くせえ!
世界滅べ、今すぐ!
俺はどうしたらいいんだ!