0011 中央 アタル (71/142)
心臓がバクバクと動き、何もしていないのに息切れがする。
「ハア ハッ」
自分の大げさな呼吸が、嫌みなくらい聞こえる。
まずい。
俺は一般人を轢いた。
「ハッ ハア」
やっちまった。
『 カチャン 』
口の中のSCMが鳴った時、俺の目元は熱くなっていた。
脳をグルンとひっくり返されたような感覚と、頭痛と目眩を感じ、その場に崩れ落ちそうになった。
必死で膝に意識を集中させ、こらえる。
だが、今にも泣き叫んで発狂しそうだ。
「フッ フッ」
人間、ショックな時は呼吸も忘れるんだ。
もしかしたら今、俺はすでに泣いているかもしれない。
けど、よく分からない。
タンすら出ないほど喉が渇く。
落ち着け。落ち着け。
「フゥ フッ」
呼吸を整えて、衝動を抑える。
間違えて違う人間を弾いたこの失敗と罪悪感は、SCMが勝負に負けた事を認識するのに十分なものだ。
俺は勝負開始3分で、ゼンイチに罪悪感を抱かされ 負けた。
まさに事故だ。