0011 中央 アタル (61/142)
「その話はするな 罠かもしれんし 聞いても俺たちは何もできん」
やっと今の生活にも、諦めが着いてきたのに。
「でもあの人達って 悪い人そうじゃないですよ」
んなもん百も承知だ。
どっちかっつうと、こっちの方が悪人だ。
「SCMで出会う人間に善悪なんて無いんだよ」
「じゃあ」
「1つ教えてやる」
俺は車のロックを外しながら続けた。
「SCMで出会う人間が いい奴でも 悪人でも 関係ない どうでもいい」
車を挟み、足立シヲリの目を見る。彼女は相変わらず眉に力を込めていた。
「大切なのは疑うか もっと疑うかだ」
「疑うか信じるかじゃないんですか?」
「信じて いい事なんて何も無いぞ」
俺はそう言いながら車に乗った。
頭の中には、なぜか足立シヲリとゼンイチが浮かぶ。
何の罪もない足立シヲリも、ゼンイチみたいな犯罪者もどきでも、リュウオウの命令なら、俺は見境い無く騙して傷付ける。
疑うか、もっと疑うか。
1番言いたいのはさあ。
頼むから俺を、信じないでくれよ。
俺を頼らないでくれよ。
なんでみんなそんなに俺に質問する。
俺だって誰かに頼りたいんだよ。
ちくしょう。
会いたいよマリア。