0011 中央 アタル (57/142)

俺と青年は無表情で目を合わせていた。


睨むとまではいかないが、互いのカードを見せないポーカーフェイスなやりとり。


だが心の中では焦りと憤りを感じながら、状況の打破を考えていた。


人生はどうしてこう、うまく行かない。


それこそ塁には誰もいないはずなのに、いきなり盗塁された気分だ。


こういう想定外の場合は、俺が方針を決めていい事になっている。


以前中野タイジュと足立シヲリを奴隷にする際、マメにリュウオウと連絡を取って不信がられてしまった。


その反省を踏まえ、今回の状況判断はリュウオウから俺に、ほぼ全て一任されている。


唯一の縛りは、俺と足立シヲリが勝負できる相手は、ゼンイチとズシオウマルという事のみ。


万が一その2匹に別の主人ができた場合などはケースバイケースで許されるが、基本的にズシオウマル派閥以外のSCM所有者との勝負は、絶対に禁止されている。


だがそれが、今この状況で1番厄介な縛りだ。


下手にこの2人に手が出せない。


SCMの勝負どうこうの前に、警察沙汰になる。


俺個人が考えていいなら、俺の答えは1つしかない。


俺は青年を見たまま。


「帰るぞ」


足立シヲリにそう言った。