0011 中央 アタル (56/142)

まあ、バッチリ嘘だが、このぐらい言わないとズシオウマルを連れて行ける気がしない。



2人の若者に罪悪感を与えて、なんとか犬を渡してもらおうと思った。



「ウゥ ワン!」



俺の言葉の直後、ズシオウマルが一声 俺に向かって鳴いた。



「ズシは嘘だって」



ズシオウマルの鳴き声を聞いた女が、青年に向かってそう言った。



おいおいマジかよ。



「え?分かるの?」



俺や足立シヲリが真っ先に思った疑問を、青年が聞いてくれた。



「だって 飼い主だもん」



少女の様に純粋に答える女。だからこそ、その言葉に説得力があった。



ズシオウマルの生い立ちなどは謎だが、あの女は恐らく本当にズシオウマルの飼い主だ。



「何があったんですか?」



女の言葉を聞くと、さっきよりも落ち着いた様子で、青年が一歩近付いて来た。



何があったも、こっちはその犬を連れて行くのが命並みに大切なんだ。



SCMの効果による主人に対する恐怖もあるが、リュウオウみたいなイカれた奴に過失を作ったらどうなるか。



ジュリアを見ていたらゾッとする。



「どうしてこの犬が必要なんですか?」



青年はまた一歩近付いて、そう言ってきた。



クソ。



隕石でも落ちればいいと思うほど面倒くせえ。