0011 中央 アタル (55/142)
さっきの主人の赤反応は、こいつらの内のどちらかだ。
やはりSCMの所有者か。
ズシオウマルが必死で尻尾を振っている女は、薄暗い中でも分かるいい女だった。
髪の毛は肩までいかないぐらい、品のいい明るい色をしている。
印象的な長いまつ毛と、ホリの深い目元の瞳は、特別大きくはないが目力がある。
ジュリアとはまた違ったハーフのような整った容姿だが、気が強そうな雰囲気は足立シヲリに近い。
ズシオウマルはこういう女が好みなのか。
足立シヲリは俺の隣で、黙って状況を観察している様子だ。
「その犬の飼い主か?」
俺は女の方に聞いたつもりだが、男が拳法のような姿勢で答える。
「ええ!そうです!」
なんだこいつ。バカか?
「悪いが その犬譲ってくれないか?」
「どうしてですか?」
女の方が俺にそう言ってきた。
だよな。素直に渡す訳ないよな。
この状況でもハッキリ聞こえる声で喋る、そのクソ度胸は大したもんだ。
「悪いが その犬はうちの大事な人にとんでもなく迷惑をかけてな 連れて行かなきゃならん」
俺の言葉に、男と女は顔を見合せた。