0011 中央 アタル (54/142)

その内の1人 女の方がズシオウマルの姿を見て、ここまで聞こえる声を出す。



「ズシ!?」



女のイントネーションで、ズシオウマルを知っている人間なのは即座に分かった。



ズシオウマルは勢い良く女の元に向かい、千切れんじゃねえかってぐらい尻尾を振っている。



俺たちもすぐに追い付き、俺と足立シヲリはその男女と対面した。



「ハア ハア」



足立シヲリも俺も、肩で息をする。



100Mも走っていないが、普段 走りもしないのに、いきなりの全力はきつ過ぎる。



「あー えっと」



向こう側の男が、戸惑った様子でこちらに話しかけてきた。



俺は今それどころじゃないほどキツイが、男と女の容姿を目に焼き付けていた。



2人とも間違いなく、俺が知らない人間だ。



男も女も、足立シヲリと同じ20代前半くらいか。



男は俺と同じぐらいの短い黒髪で、健康的に肌の黒い、爽やかな見た目をしている。



身長は俺より少し低い。



そして、男の片手には薄暗い夜道で光を放つ、開いたままの携帯電話がある。



俺も同様に、片手にGPSを開いた状態の携帯電話を持っている。



互いにチラっと、片手に持つ携帯を見たのが分かった。