0011 中央 アタル (50/142)

「あの さっきゼンイチの家に置いていった紙って」


手綱を握りながら、足立シヲリが俺を見た。


「ああ 俺の携帯の番号を置いて行った」


「それって」


「こっちから探そうにも手間取りそうだからな 次はあっちから来てもらう」


ゼンイチが家に帰ったら、部屋が荒らされた様子も無く、ただ知らない番号が書かれた手紙がある。


気持ち悪いだろう。


警察に被害届を出すようなタマでもないだろうしな。


あいつはまだ、リュウオウの存在どころか俺がここまで徹底的に追いかけている事は知らないはずだ。


俺に電話させて、自分が追われている立場だと気付いてもらう。


今度はこっちが奴を誘(おび)き寄せる。


「なんか そういうの怖くならないっすか?」


「怖いよ」


俺の答えに、足立シヲリは何も言わなかったが俺は続ける。


「だが 本当に怖いのは 主人の命令の為なら 普段怖いと思う行動をさせるSCMだ」


足立シヲリとの会話の流れで思い付いただけの言葉だが、つくづくそう思う。


感情は操れない代わりに、恐怖心を持ったまま犯罪行為をさせられる。


今まで俺が32年間で築き上げてきた、全てのアイディンティティをぶっ壊す。


それがSCMだ。