0011 中央 アタル (39/142)
俺が一歩前に歩き、ドアの内側に入り込もうとした。
その時だ。
ゴヅ!
足立シヲリが俺の右半身にぶつかってきた。
「あた」
一瞬何が起きたか分からなかったが、足立シヲリも同時に部屋に入ろうとしたんだ。
意味が分からん。
「何考えてんだ !」
小声だが強い口調でそう言うと、足立シヲリも少し怒った様子で返してくる。
「先に行けってことだったんじゃないんすか !?」
ああ、なるほど。
この女はさっきのアイコンタクトで、自分から行くものだと勘違いしたんだな。
この場面で、どうしてそうなるんだ。普通手前にいる男の俺からだろ。
「違う 俺が先に入る 空気読め」
足立シヲリは下唇を突きだし、眉の間にシワを寄せて不満な顔を作って見せた。
なんだよその顔。かわいいな。
変な顔で返しただけで、俺の言葉に何も言わないが理解はしたようだ。