0011 中央 アタル (37/142)
俺は車から持ってきたカバンから、ガムテープを取り出し、窓ガラスに張ろうとしていた。
ガムテープを窓ガラスに張って割れば、音をあまり出さずに侵入できるとマンガでやっていた。
1回あれ、やってみたかったんだよな。
俺はガムテープをドアの横の窓に張ろうと、窓の前に立つ。
そして直後に気付いた。
窓の手前に鉄の柵がある。
なんてこった。
窓を割っても鉄柵があったら、中に入れないじゃないか。
俺が窓の前で硬直していると、足立シヲリが気まずそうに話しかけてきた。
「あの ちょっと待っててください」
俺が何か言う前に、彼女はまたアパートの階段を降りて行く。
どうしたんだ?
カッカッカッカッ
階段を鳴らし、またすぐに戻ってきた。
「ありましたー」
小声だが、興奮したイントネーションの声だった。
なんと、足立シヲリの手には、このアパートの鍵らしきものがある。
「おお どこにあった?」
「ポストにありました」
ポスト?
たしかに、うちの実家も家の周りに鍵を隠しておいたりもしていたが、ポストなんかに置く奴がいるのか?