0011 中央 アタル (31/142)
時間はまだ夜10時前。
成人男性が寝るのには早いし、事前の調べでゼンイチは最近デリヘルの仕事をしているらしいと聞いた。
家にいないだけか。
そのままゼンイチの家を通り過ぎ、近くにあったコインパーキングに車を停めた。
俺が後部座席に置いておいたカバンを持ち出し、車から出ようとすると、足立シヲリが助手席に座ったまま、驚いた様子で聞いてくる。
「え?あの今直接家に行くんすか?」
「そうだ」
どうやら足立シヲリは、張り込みか何かをするつもりだったらしい。
「でも もしゼンイチがいたら」
「それが目的だろ」
俺の受け答えに、足立シヲリは半口を開けて一瞬黙った。
戸惑う気持ちは分かるが、どの道直接会って勝負をしなければいけない。
しかも相手は交渉や小細工で、どうこうできるような性格じゃない喧嘩屋だ。
真っ正面から行くぐらいの気持ちでないと、何もできない。
もちろん、赤反応のズシオウマルを捕まえるのも目的だ。