0011 中央 アタル (30/142)
足立シヲリの心情も察するが、車のフロントガラスから広がる町のロケーション的に、ゼンイチの家の近くだと感じた。
「そろそろ着くが 反応は?」
俺がそう言うと、足立シヲリは流れる景色から携帯の画面に視線を移す。
「相変わらず赤だけです」
赤だけ。ズシオウマルだけか。
「一応SCMは外して 手元に持っておけ」
「あ はい」
足立シヲリはそう言うと、顔を俺から逆に向け、手で口を隠し、SCMを外した。
ああ。口から出すとこ見られたくないよな。
女の子も大変だな。
「あれ?そういえば中央さんはSCM外してたんですか?」
ハンカチにSCMをくるみ、バックに入れながら足立シヲリが不思議そうにこちらを見る。
「ああ 君と会う前に外してある」
俺はそう言いながら、スーツの左ポケットをポンポンと叩いた。
車から見える窓の外の景色は、すでに街並みから民家が目立つ、住宅街が続くようになっていた。
それからすぐに、ゼンイチの住むアパートの前に着く。
車を減速しながら、足立シヲリの方を見た。
「あのアパートの2階の角部屋だ ここからでも窓が見えるだろう」
足立シヲリは助手席側の窓から顔を少し出し、道路沿いのアパートを見上げる。
「明かりは点いてないっすね」