0010 文京 ゼンイチ (88/90)
こいつが言いたいのは、SCMを通して、誰かが俺達の会話を聞き、勝負を開始させたり、決着を判断したりしているって事だろう。
「お前何だよ SCM作った奴か?」
メガネの男は下を向き、少し笑った。
「いや 今のは単なる俺個人の予想だ」
メガネはポケットからライターを取り出し、火を着ける訳でもなく、シュッシュッと石を鳴らす。
「あやふやな定義で始まる勝負や いい加減なルールでも終わる決着の判断は 機械には無理だ」
だから人間が判断しているんじゃないか。
そこまで言わなくても、俺には分かった。
男は相変わらずライターの石を、シュッシュッと鳴らしながら続ける。
「本題は 犬の奴隷は嫌だろ?だから俺達の派閥に来い」
俺達の派閥?
「何 言ってんだ テメーはよ」
「そのままだよ 君も犬くんも 仲間になってもらいたい」
メガネはそう言いながら、少しずつズシオウマルに近付いていた。
ズシオウマルは唸りこそしなかったが、メガネの動きに注目している。