0010 文京 ゼンイチ (80/90)

さあ来いよオカマ野郎。


ぶっ飛ばしてやるから、携帯よこせ。


道の後にも先にも人の気配は無い。


つうことは、民家の塀(へい)から近付いているのか。


ガササ


塀の向こうで、木が揺れた。


やっぱそうだ。俺は塀の方に注目した。


『 キュイ──ン 』


3度目のアラームの直後に、塀から飛び出して来たのは



「ガア!」



犬だった。



「なっ!?は!?」



犬はいきなり俺の首目掛けて牙を突き出す。


俺は裏拳で向かってくる犬を払った。だが手応えが薄い。


犬は数メートル先の地面に着地し、また向かって来た。


「なんだ!」


俺は向かってくる犬を蹴ろうとしたが、犬は直前で身を引きやがった。


なんなんだ!こいつ!


周りには飼い主らしき人間はいない。



「やんのかコラ!」



「オン!アオン!」



『 カチッ 』



犬が吠えた瞬間、俺のSCMが鳴った。



「はあ!?」



まさかこの犬がSCMを着けてんのか!?



しかも今のは勝負開始の合図だよな!?



今ので成立なのかよ!どうなってんだよ!嘘だろ!