0010 文京 ゼンイチ (55/90)

顔を前に向け、多分、時間にして2~3秒。


俺はあのイチゴちゃんのことをフル回転で考えていた。


うし、とりあえずナンパだ。


とにかく携番をゲットしないと、2度と会えないかもしんねえ。


行き着いた答えに爽やかさを感じながら、俺は振り返った。


すると、イチゴちゃんは立ち止まっていた。


目の前には1人の男が立っている。


は?あ?シンノスケ?


「あら こんなー所にいい女♪」


一瞬で理解できた。


あんの野郎、イチゴちゃんをナンパしてやがる。


そしてすぐに会長の言葉を思い出した。


『もう1人の彼なんて 自分で女の子をスカウトしてるよ?』


あんの野郎!イチゴちゃんにデリヘルやらせる気か!


あんな純情可憐な乙女に、客のモンしゃぶらせる気か!


殺してやる!


視界が真っ白になり、マンガだったら白目向いて、頭の血管から血が出るほど逆上していた。


「わ びっくりした!」


当のイチゴちゃんはそう言いながら戸惑っている。


声が思っていたより低い。なんかいい。


イチゴちゃんの声で、怒りを一瞬忘れた。