0010 文京 ゼンイチ (50/90)

会長の顔が一瞬険しくなる。こんな顔もすんのか。


一瞬戸惑うスーツの男の後ろから、別の男が顔を出した。


「あ すんませーん!タバコ忘れちゃったみたいで」


顔を出してきた男は、金髪のツイストパーマをかけたライオンみたいな男だった。


なんだこいつ。なんか気に入らねえ。


なんつうの?野生の勘?


一瞬時が止まった後、そいつは俺と会長を交互に見る。


そして始めに会長が立ち上がった。


「あー タバコならたしか」


会長がスーツの部下を見ると、部下が慌てた様子でポケットからタバコを取り出した。


「ぶほ すみません!」


部下からタバコを受け取ったその男は頭を下げた。見た目よりも腰が低いな。


その様子を見ながら、会長は気まずそうに頭の裏をかいていた。


「んー まあいい機会だから紹介するけど 彼がその ね?」


「あ もう1人の会長候補がこの人すか?」


会長は俺に向かって話していたが、先に口を出したのは獅子舞野郎だった。


俺は立ち上がり、獅子舞を睨む。


「あ?」


この獅子舞野郎がもう1人の会長候補だってのは、俺にも分かった。


つうか俺の方が先に分かったし。


「気安く呼ぶんじゃねえよ 舐めてんのかコラ」