0010 文京 ゼンイチ (42/90)

「なんだよこいつ おい目黒!」


俺が目黒を見ると、目黒はまだルシエの足を押さえていた。


「か 過呼吸です」


「は?」


かこきゅう?何だそれ。


「ひっ はっはっ はぅ」


ルシエは相変わらず、苦しそうに喉をさらしていた。


「足押さえなくていいから何とかしろ!」


俺がそう言うと、目黒は隣にあったゴミ箱をひっくり返し、ゴミ箱に備え付けていたビニール袋を取り出した。


そしてそれをルシエの口元に当てる。


何だ?くさい思いでもさせて、目を覚まさせるのか?


ルシエはありがたそうに袋を両手で掴み、袋の中で呼吸をし始めた。


両手の縛りはすでに解いた。


ルシエの呼吸に合わせ、ビニール袋が膨らんで、縮む。


目黒はひたすらルシエの背中をさすっていた。


意味は分からないが、2分くらいそれを続けていると、ルシエの呼吸が落ち着いてきた。


「はあ はあ は」


ルシエはビニール袋を口元から離し、目を瞑ったまま胸で呼吸をしている。


なんだよかこきゅうって。病気か?