0010 文京 ゼンイチ (36/90)
あんまり暴れるもんだから、ベッドからズリ落ちた。
一度崩れた体勢を立て直し、またルシエを羽交い締めにする。
俺は杉並ルシエの口に、ベッドにあった枕を押し込む。
うまい具合に目だけ見えるようにした。
枕の下でフガフガ言って、まだ目黒に向かって何か騒いでやがる。
「残念だが 目黒さんは俺の奴隷だ」
俺のその言葉で、杉並ルシエは目を見開き、目黒を見た。
なんつうか、瞳孔開いちゃってるような驚いた様子だ。
目黒は目黒で足抑えながらうつ向いてやがる。
気まずいんだろうが、俺には関係ない。
「もう騒ぐなよ 静かにすれば悪いようにはしない つうか諦めろ」
俺がそう言った頃には、すでに杉並ルシエは騒ぐ様子も無く、死体みたいに脱力して静かになった。
「そうそう」
俺はそう言いながら、わずかに押さえていた枕への力を緩める。
足を押さえている目黒に言う。
「そっちはまだ力抜くなよ」
目黒は黙って足を押さえ続けていた。
「さあて どうしよっかねえ」
勝負を申し込んでも、決める権限は杉並ルシエにある。
面倒臭えルールだが、この状況なら関係ねえ。