0010 文京 ゼンイチ (17/90)
「勝負の内容は俺が決めていいんだろ?なんであんたに決められなきゃいけねえんだよ」
それ以外にねえ。自分が決めていい事を、他人に決められるなんてまっぴらだ。
男は一瞬、黙ったが、すぐに席を立った。
「そうか じゃあ勝負の件は無しだ 忘れてくれ」
そう言って、男はこの場を立ち去ろうとする。今まで大して気に止めていなかったが、奴の足元にはリュックが置いてあった。
それを持った奴の体勢で、リュックがものすごく重そうなのが分かる。鉄アレイでも入ってんのか?
俺は立ち上がり、男の首周りに腕を回した。意外にガタイがいいな。
「待とうよ おっさん」
男は俺の腕を払い退けて、歩き続けようとする。
「交渉は終わった 君に用は無い」
イラッとキタ。
俺はすぐに近くにいた店員に、飯を食いに行くから俺の台を取って置くように言う。
男が店を出た直後に、俺は奴に追い付いた。
店の横出口から出たそこは、ちょうど路地裏で、人通りが少ない。
追ってきた俺に気付くと、男は振り返る。
「しつこいな 今日はも ぶっ」
バッチィン
振り返った瞬間。俺はそいつの顔をブン殴った。