0009 中野 タイジュ (51/65)
俺は無意識に、シヲリさんの手を強く握っていた。
「それに シヲリさんを解放しないならジュリアが俺の奴隷になるんだぞ!」
興奮し過ぎた俺は、自分の事を「俺」と呼んでしまった。
しかし中央は、そんな事も気にしない様子で話し始める。
「それもさせないし できないだろ?」
何を言ってるんだこいつはと思った。
「状況は変わったし ジュリアの負けはあり得ないもん」
隣でつぶやくジュリアの言葉で理解した。
確かに考えてみれば、俺とジュリアの賭けの内容は『中央がゼンイチに勝つか負けるか』というものだ。
さらに、中央がシヲリさんを解放したら俺の負け。
今の現実の状況は、賭けの内容とは大幅に変わり『中央がゼンイチに負ける』という状況があり得ない。
くそ、行き着いた思考を考えたくもないけど
つまり、ジュリアの負けはもうあり得ないんだ。
「くそ くそくそくそ!」
中央がシヲリさんを解放すれば、俺の負けだが、それを拒否されても俺にはどうする事もできない。
そして、すでに中央達にとってシヲリさんを解放するメリットは無い。