0009 中野 タイジュ (50/65)
シヲリさんは今日何回も吐いているからか、胃液しか出ていない様子だった。
数秒でタオルを口から離したシヲリさんに、ジュリアがペットボトルの水を渡す。
一口水を飲むと、シヲリさんはグッタリと背もたれに倒れた。
ついに、シヲリさんをゼンイチの奴隷から解き放ち、中央の奴隷に切り替える事ができた。
あとは、約束通り中央がシヲリさんを解放してくれればシヲリさんのSCMは壊れ、シヲリさんは自由になる。
そして俺はジュリアとの賭けに負け、ジュリア達の奴隷になる。
それでいい。
目を閉じて、口を開け「はあ ふう」と呼吸だけをするシヲリさんを見る。
次に俺は、中央を見た。
すると、タイミングを見計らったかの様にまた中央の携帯が鳴る。
メールのようだが、中央は携帯を見た。
「あの 早くシヲリさんの解放を」
俺は少しイライラして中央にそう言った。
この期に及んで、まだ携帯を気にするのか。
中央は、眼鏡の位置を直すと静かに言う。
「悪いが できない」
「は?」
俺は中央の言葉が、理解できなかった。
「何言ってんだあんた!」