0009 中野 タイジュ (46/65)

中央は、ため息を吐くとシヲリさんと俺を見ながら話し始めた。


「すぐに勝負を始めたい」


窓の外では相変わらずゼンイチとズシオウマルが戦っているが、ゼンイチがこちらに近付こうとするとズシオウマルがそれを食い止める。


「あの犬 多分あたしを助けようとしてくれてんだ」


窓の先を眺める俺にシヲリさんが、そう言った。


確かにズシオウマルの行動は、シヲリさんを助ける事に繋がっている。


「唐揚げの お礼かな」


俺の言葉に、シヲリさんは微笑む。


くー。シヲリさんの笑顔、ずっと見ていてえ。


俺はそんなハシャイだ気持ちを押し殺して、冷静にシヲリさんに説明する。


「今 状況が変わってあたしは直接足立さんを解放できないんです」


「は?」


俺は簡潔に状況を説明した。


シヲリさんを解放するには、シヲリさん自身が他のSCMと勝負をすること。


俺はジュリアと勝負をしている為に、シヲリさんと勝負ができない事。


この場でシヲリさんと勝負ができるのは、運転席に座る中央だけという事。


「中野ちゃんが勝負中って どうしたの?」


シヲリさんは、俺とジュリアを交互に見ながら疑問を聞いてきた。