0009 中野 タイジュ (29/65)

「中野さん 話は大体聞いたが 俺達は君を信用した訳ではない」


中央と名乗った眼鏡の男は、ハンドルを握りながら一瞬バックミラーに映る俺を見る。


「あたしは 嘘をついていません」


俺の言葉は真意だ。


姿は偽ってるけど。


しかしジュリアは俺を見ながら静かに言う。


「でも もしかしたら そのゼンイチっていう奴とグルかも」



は?



「そんな訳ない!」



疑われるのは仕方ないし、すぐに信用する方が無理だろうが、ゼンイチと俺がグルと言う発言には頭にキタ。


「ジュリア 今のは言い過ぎだ」


中央が静かにジュリアに言う。


「ごめんなさい けど言葉だけでは信用できないのは分かるでしょ?」


ジュリアは謝った後に、そう付け加えた。


女は謝った後に「けど」や「でも」を付けるのが好きだ。


俺が不機嫌そうに黙っていると、今度は中央が話し始めた。


「ああ だからそれを証明する為に 君にリスクを背負ってもらいたい」


「リスク?」


「今からジュリアと勝負をするの」


隣に座るジュリアが、俺にそう言った。


次にまた、中央が話し出す。


「俺がそのゼンイチを倒したら 君はジュリアの奴隷になる という賭けだ」