0009 中野 タイジュ (28/65)
俺は最後にゼンイチから逃げた、公園周辺の場所を説明する。
ジュリアも携帯を見ながら、運転席の男に言う。
「赤○と黄色い○がある 多分間違いありません」
そうか。ジュリアが携帯をイジっていたのは、SCMのGPSを開いていたからか。
「さっきの答えだけど」
男が車を発進させると、ジュリアが俺に顔を向けて話し始めた。
「今からジュリアと勝負を始めれば 教えてあげる」
「え?」
勝負だと?
「名前は?」
ジュリアの話に続き、運転席の男が俺に名前を聞いてきた。
「中野です」
今は女装している。名字で名乗るのが1番当たり障りない。
「俺は中央だ」
男の返事は一瞬意味に迷ったが、彼は中央と言う名字らしい。
「ちゅうおうさん」
「ああ」
顔は一瞬しか見ていないし、今は席を挟んだ後ろ姿しか見えない。
歳は30歳前後で、体が大きいと言うか存在感があるが、眼鏡とスーツがよく似合う。
声は低く迫力はあるが、紳士的で、心配していたヤクザ屋さんの様な雰囲気ではない。
仕事がバリバリできる、実業家という表現が的確な雰囲気だ。