0009 中野 タイジュ (27/65)

フロントガラスから、眼鏡をかけてスーツを着た壮年手前の男が1人見える。


彼が助っ人?ジュリアがさっき電話した相手がこいつだとしても、来るのが恐ろしく早い。


やはりジュリアの奴隷なのだろうか。


けど、ならなぜ敬語だった。


そういう主従関係もあるのだろうか。


何かヤバイ。


高級車の雰囲気にも圧倒され、俺は危険な不安を感じていた。


「どうしたの?」


ジュリアは車に乗り込む直前に、俺に振り返って聞いてきた。


「本当に救ってくれるんですか?」


俺の言葉に、ジュリアは不思議そうな顔でこちらを見る。


「その為なら あなたは何でもするんでしょ?」


俺は単純にビビっていたが、ジュリアのその言葉でシヲリさんの顔が浮かぶ。


元気よく笑う彼女と、血とよだれを公園の電灯で光らせる傷ついた彼女の顔。



彼女が救えるなら何でもできる。



けど俺1人では、ゼンイチに勝てない。



俺は車に向かって歩き始めた。



後部座席に乗り込むと、運転席の男が声を出した。



「場所は?」



低く、重い声と同時にジュリアが俺を見た。