0009 中野 タイジュ (25/65)
俺の最後の言葉を聞くと、ジュリアは小さな唇をキュッとしめて、数秒間黙り出した。
視線は俺の顔のままだが、何か考えている様子だ。
そして次に、席で待っているように言われる。
ジュリアは席を立ち上がり、店長らしき人間と話し出した。
数分後、俺が座る卓に戻ると
「早退したから 今から着替える 外で5分待って」
どうやら、俺の交渉を承諾した様子だ。
けど、キャバクラで早退なんてそう簡単にできるのだろうか?
平日だし、客は少ない様子だけど。
それにしても、ゼンイチの強さはうまく伝えたはずだが、二つ返事に聞こえるジュリアの言動には、何か得体の知れない自信が感じられた。
本当にこれで良かっただろうか。
俺はまだ不安を感じながらも、先に店を出て、タバコを吸いながらジュリアを待っていた。
この際、シヲリさんが助かればジュリアが何者でもいい。
問題は、可愛いだけのあんなか細い女がゼンイチに勝てるかどうかだ。
もしかしたら、とんでもなく頭が良かったり、すでに所有する奴隷に勝ったような、何か秘策があるのかもしれない。
しかしハッキリ言って、ジュリアがゼンイチに勝つビジョンはまったく浮かばない。