0009 中野 タイジュ (23/65)
卓に着くと、ジュリアという女は酒ではなく、わざわざ温かいお茶を黒服に頼んで注いでくれた。
「キャバクラなのにホットの緑茶出すなんて珍しいでしょ?」
「あ ええ」
ジュリアは緑茶を俺の前に置いて、俺の目を見ながらそう話した。
まだ居酒屋に行った酒が残る中、めまぐるしく色々なことが起きていたので喉は痛いほど乾いていた。
おまけに手先は冷たく、震えるほどの緊張と寒さがあったので、温かい緑茶は魅力的だ。
俺は緑茶を一口飲みながら、上目遣いでジュリアを見る。
真っ白な肌に大きな黒い瞳が印象的で、豪華に巻いたツートーンカラーの髪の毛の螺旋が、独特のオーラを感じさせる。
俺は女の好みにうるさいが、ジュリアは一言で言うと格別に可愛いかった。
奴隷を所有する、赤○だからどんな人物かと懸念していたが、意外な正体だ。
「ジュリアも最近 他の店を辞めて この店に移ったの」
第一印象から、天然と言うかおっとりした印象を感じる彼女だが、背筋を伸ばして俺の目を見ながら話す彼女には、今の俺すら圧倒する迫力があった。
「ここは店の中だから 下手なことをしたらあなたの方が不利だからね」