0009 中野 タイジュ (22/65)

「違います 客です お金払うんで入れて下さい」


興奮や緊張の中、俺の頭の中は冷静でクリアだった。


そして、静かに話す俺には一歩も譲らない勢いがあった。


ボーイは「あ じゃあ えっと 少々お待ち下さい」と言って、ドアを開けたまま後ろを振り返る。


どうやら、女1人の客は珍しいらしく対応に困っている様子だ。



『 キュイ──ン 』



3回目のアラームが鳴った。



同時に黒服と店長らしき後ろの男の間から、1人のキャバ嬢が出て来る。



「あー!ムギコー!来てくれたのー?」



突然 店の中から出て来た見知らぬ女は、俺をムギコと呼んだ。


俺はムギコじゃない。大体ムギコってなんだ。



「え ジュリアさんの友達ですか?」



黒服が驚いた様子で、女に聞いた。


「そうそう ジュリア指名でいいよね?」


自分をジュリアと名乗る女は、俺に目を強く合わせてそう言った。


「うん 指名で」


俺は女の話に合わせ、ボーイに言う。



間違い無い。



この女が赤○のSCM所有者だ。