0009 中野 タイジュ (15/65)

俺は夢中で走り、住宅地を抜け、駅前まで出た。


途中でパンプスを脱ぎ、カバンに入れていた。


時間は深夜だが、駅前には交番もあるし、居酒屋も多いからまだ人がいる。


「はあ はあ」


かなりの勢いで走ったせいで、心臓は重く高鳴り、腹が針に刺されたように痛い。


俺は交番が目の前に見えるベンチに座った。


少し離れた隣に座るサラリーマンが驚いた様子で土に汚れた俺を見たが、俺からしたら人がいるだけで安心した。


交番にも何人か警察官がいる。


ここなら少しは安全だ。


警察官も、俺の様子に不信感を抱いているのかチラチラと見るが、職務質問をしてくる様子もない。


思考はクリアで、頭の回転が早い気がするが、酒を飲んだ後なのも手伝い、気を抜くとそれこそ気絶しそうになる。


反面、聞こえるほどの鼓動の緊張感と恐怖で、今寝ろと言われても絶対に眠れる気がしない。


俺はベンチに座ってすぐ、周りを確認しながら携帯を取り出し、ブックマークに登録していたSCMのGPSを開く。


画面の地図を拡大していき、周辺の地図が出ると、ボタンを連打してズームを急いだ。


周辺から1番近い所に赤の○と黄色の○が1つずつある。


場所はあの公園あたり。


赤は主人で、黄色は奴隷だ。


間違いない、シヲリさんとゼンイチだ。


ゼンイチは俺を追うのを止めて、公園に戻ったんだ。