0009 中野 タイジュ (16/65)
俺は今、SCMを外している。
GPSには俺の居場所を示す○が載っていなかった。
勢いと思い付きでSCMを外しただけだったが、それが良かったんだ。
最大までズームした周辺には、ゼンイチとシヲリさんの反応しか無かった。
画面を1段階アウトすると、さらに広範囲が映し出される。
画面には、シヲリさんとゼンイチとは他に、さらに2つのSCMの○が映し出された。
1つはここから比較的近い、緑の○。
緑は奴隷にも主人にもなっていないフリーSCMだ。
もう1つは、赤の○。
ゼンイチとは違う、主人SCMの反応だ。
ここから、東に2駅分くらいの距離だろうか。
そんなに遠くない。
俺は、携帯を見ながら初めて冷静に考えた。
すぐにでも、ゼンイチからシヲリさんを助けたい。
けど、これは警察に行くべきだろうか。
俺は、駅前のベンチから目の前にある交番を見た。
交番には常駐している警察官が3人いた。
けど、SCMをどう説明する?
殴られたけど、シヲリさんはすでにゼンイチの奴隷だ。
口裏を合わせられたら、警察も手が出せない。
俺自身が被害者として名乗り出る手もあるが、警察に駆け込んでもゼンイチからシヲリさんを解放することに繋がる気がしない。
くそ。
ゼンイチから、逃げている内に考えていた事がある。
他のSCM所有者に助けを求める。
またゼンイチに1人で挑むのは、怖い。
他のSCM所有者に頼る発想が、俺の頭から離れないんだ。