0009 中野 タイジュ (11/65)
俺は逃げるの止めて、男に叫んだ。
「女だぞ!」
ゴツ!
黒人は俺の叫びに躊躇(ちゅうちょ)もしないで、女のシヲリさんの顔をグーで殴り続けた。
「っざけんな!」
俺は黒人に向かって走り出し、勢いよく飛び蹴りをした。
見事に足を黒人に掴まれ、俺はそのまま地面に叩きつけられる。
頭に痛みを越えたクワアンとした衝撃を感じ、一瞬、意識が遠のいた。
すぐにテンションが下がるくらい、泣きそうな痛みを感じる。
くそ。ガタイが違い過ぎる。
「お前 オカマか?」
「ふっ ふぅ」
黒人が流暢(りゅうちょう)な日本語で俺に話しかけてくるが、俺は痛みに呼吸するのが精一杯だった。
地面から、シヲリさんを捕まえたままの黒人を見上げると、黒人は俺の首を思い切り踏んだ。
「ごふ」
頭だけでなんとか見上げると、黒人はシヲリさんの口を無理矢理広げ、SCMを確認して話し始めた。
「お前に勝負を申し込む 受けなければ本当に殺す」
バフ!
「ぶっ」
また殴りやがった。今度は腹だ。
シヲリさんはすでに抵抗するのを止めて、体がダランとしている。
「わかっ た」
血の泡を吹きながら、シヲリさんはそう答えた。