0009 中野 タイジュ (9/65)
俺はウィッグを付け直し、女の格好に戻ってから説明書を取り出して、解放の仕方を確認しようとした。
たしか解放を宣言する際には、必要な手順があったはずだ。
『 キュイ──ン 』
説明書のページをめくろうとした時、口の中のSCMからアラームが鳴った。
シヲリさんも驚いた顔でこっちを見ている。
「これってあのアラームじゃ」
「はい」
俺は返事をしながら、夜の公園を見回した。
「他のSCM所有者が近くにいるの?」
恐らくそうだ。俺は周囲を警戒しながら、シヲリさんに黙ってうなずく。
『 キュイ──ン 』
2回目のアラームが早い。
携帯で見れる、SCM所有者のGPSを持ってるかもしれない。
「なんか怖いんだけど」
シヲリさんがそう言った瞬間。
『 キュイ──ン 』
3回目のアラームが鳴り、公園の出口に、1人の男が現れた。
男は片手に携帯を持っていた。暗い中でもディスプレイが光っている。
間違いない、こちらの位置を把握していたんだ。