0008 足立 シヲリ (20/55)
一瞬まずかったかなと反省したが、中野ちゃんは口ごもりだした。
「あたし あの 」
さすがに失礼だったかな。はるか歳上だったら後味も悪いしなあ。
「理想の その 女王様を探してて」
ふぁ?
あたしの目が点になっても、中野ちゃんは話し続けた。
「あたし 自分じゃ何も考えられなくて 誰かに指示されたり命令されるのが大好きなんです」
中野ちゃんは、熱を失いかけた紅茶をゴクンと飲む。
「知ってます?人って自分よりSな人に出会って 初めてMになるんです」
ああ。人には元からSの要素も、Mの要素もあるとは聞いていたけど。
「逆に自分よりMな人の前では Sになるんです」
「へえ」
「あたしも普段からMって訳じゃないんです むしろ大抵の人に対してSだと思うんです」
まあ、確かに第一印象はSぽかった。
「けど 心のどこかで 自分よりSな人を求めていることに気付いたんです」
「それで女王様を求めて このSCMを付けたんすか」
中野ちゃんは、恥ずかしそうに小さくうなずいた。
「あたし おかしいですよね」
笑顔を作り、聞いてくる中野ちゃん。その笑顔はちょっと不細工というかいやしかった。
「いやあ 世の中もっとすげえ変態がいるからねえ」
あたしは素直に、世の中には色んな人がいるなあって感心していた。