0008 足立 シヲリ (17/55)
あたしは彼女の口から出た、聞き慣れない単語に思わず聞き返してしまったが、女の子は怯えたリスみたいになっていた。
SCM あ、口の中のやつか。
つうかなんで分かるの?
「何で分かったんすか?」
あたしがそう言うと、女の子は黙りだした。
見れば見るほど、可愛いなこの子。
パッと見は性格のきつそうな小悪魔って感じだけど、挙動はすごい女の子女の子してる。
手足は細くて、スラっとしてるし顔もちっちゃい。
ちょっと化粧は濃いけど、肌もやたらきれい。声は意外に低いけど、常にかすれた小鳥みたいな小声だった。
見た目のわりに、自信が無い感じのギャップがまたいい。
今まで付き合ってきた男に「おしっこを立ってするんじゃねえか」とまで言わせたガサツなあたしにとって、この子はまったく逆のタイプの女の子だ。
この子を見てると、あたしは女の子でもいけるとさえ思う。
「あの 説明書 読みませんでした?」
「説明書?」
「SCMの これです」
彼女はそう言うと、カバンから本を取り出す。
確かに見覚えがある。
「あ 入ってたわ」