0008 足立 シヲリ (15/55)

「駅分かんないから送ってー」


友達はまだ布団の中でムニャムニャしながら、そう言った。


「とりあえず歯だけ磨かせて」


「あたしもー」


仲良く2人で歯を磨き、軽い支度をして家を出た。


歯を磨いた時に、歯の裏の器具は軽く邪魔だったが、あまり時間が無かったので友達を送ってから外すつもりだった。


家からしばらく歩いた最寄り駅に着くと、改札越しで別れの挨拶をする。


「またねー」


「うん じゃあね」


改札から友達の後ろ姿を眺める。


サングラスして、昼帰りのキャバ嬢って感じだけど、あの子はあたしの家に来てから、陰毛を減らして帰っているんですよ。皆さん。


あたしは駅にいる周りの人にそう言い触らしたくなったが、我慢してクスクス笑いながら駅を出た。


友人を送り、あたしは駅前のコンビニに寄ることにした。


軽く立ち読みでもして帰ろうと思い、選んだ雑誌を開くと。



『 キュイ──ン 』



歯に震動する何かを感じた。


震動は一瞬で終わり、あたしが混乱しながらも気のせいかと思って、雑誌の続きを読み続けようとすると。


また『 キュイ──ン 』と鳴る。


何これ。間違いなくSCMっていう、あの器具からだ。


あたしは雑誌を置き、家に帰ろうとした。


コンビニを出た瞬間。


『 キュイ──ン 』


また鳴った。


そしてコンビニから出たあたしの前に、あたしの事ををじっと見つめる、1人の女の人がいることに気付いた。