0008 足立 シヲリ (7/55)
おいおい、何を取り出すんだよ。首輪なんか出されても困るよ。
「ほら!これを使えば僕はシヲリ姫の忠実な召し使いになるんだ!」
男はそう言って、携帯が入ってるくらいの白い箱を取り出した。
一瞬、本当に携帯でも渡してくるのかと思ったけど、箱の中には入れ歯みたいな金具が入っていた。
何あれ。
「何かしら?」
あたしは男が持つ、不思議な金具に目がいく。
「これは今 流行りのSCMって言うんですよ」
今、流行りの?嘘つけ。
「俗世間のことは うとくて」
「これは付けるだけで 相手を召し使いにできるのです」
嘘くさ!
「あら すごいわねえ」
あたしは男から受け取ったアホな金具を、ビニール越しに触っていた。
グニャグニャと曲がり、ビニールの封は開けられていないので、どうやら新品のようだ。
「それは シヲリ姫様に差し上げます」
「はい?」
いらねーよ。ちなみに客からプレゼントを受け取るなどの、裏引きは誕生日などを除いて禁止されている。
あたしは金具を男に返す。
「ぅふふ うれしいけど 庶民から物を受け取らない主義なの」