0008 足立 シヲリ (6/55)

まあ、別に語るほどの思い出なんてないけど、あたしの19年はお姫様とは無縁なだけだ。


客の男は相変わらず質問してくる。


「じゃあ シヲリ姫の家には召し使いがたくさんいるんですか?」


こいつ、いい加減面倒臭えな。


「ええ 20人ぐらい けど今は休暇をとらせてジャマイカに旅行中なの」


あたしがジャマイカ行きてえよ。


「へえ じゃあ僕を召し使いにしてください」


おお、会話のキャッチボールを吹き飛ばしやがった。


あたし、昔からこういう変態に好かれんだよな。本当にいるんだよ、こういうドM。


なるんだったら、本当に召し使いにしてやりたいと思う。


「本当になるなら よろしくてよ」


あ、やべえ 言っちゃった。


「なるなる!シヲリ姫様の召し使いならなるよ!」


うお。一気にテンション高くなってるよこいつ。


鬼のように面倒臭え。


「ぅふ けれどあたくしの従者になるのなら 絶対的に服従してもらわないと勤まりませんことよ」


ちょっと痛いけど、ハードル上げるしかねえな。


すると男は持っていた無駄に大きなバックをゴソゴソとまさぐり始めた。