0007 新宿 セイヤ (20/36)
俺はそんな疑問を最上級の笑顔で隠し、ジュリアの全体を見る。
着ている服は、あの日出て行ったまま。しかし、そでの先がほつれている。
ブランド志向ではなかったが、ジュリアがほつれた服を着るなんてあり得ない。
外に出る時は常に付けているはずの香水も、付けていない。
髪の毛も、最後に見た時からカラーもカットもしていないようだ。
バサバサのエクステに、付け根と毛先の色も違うプリン。
一瞬で、手入れが行き届いていないと分かった。
さらにジュリアの耳の内軟骨には、以前は付けていなかったピアスが刺さっている。
声や、大きな黒い瞳、人なつっこい微笑みは確かにジュリアなんだ。
けど目の前のジュリアは、1ヶ月前までのジュリアと何か違う。
「あのね ジュリア 今日お金が」
特徴的に高いジュリアの声に、俺は思考を止める。
「ああ 気にしなくていい俺のツケにするから 何でも好きな物頼め」
俺の言葉に笑顔になると、ジュリアはファジーネーブルを頼んだ。ジュリアが好きな酒だ。
俺は一緒に、野菜スティックも頼んだ。ジュリアがいつも食べていた、味噌ではなくマヨネーズを添えた物だ。
ジュリアは「ありがとう」と微笑む。
ジュリアの微笑みに、俺は泣きそうになった。