0007 新宿 セイヤ (15/36)
俺も卓に並んだジョッキや皿を見たまま、別れた女のことを思い出していた。
アヤカの奴隷から解放され、すぐに電話をしたが彼女は出なかった。メールも返ってきていない。
「あんたも 今回は運がいいだけで 次は奴隷かもよ?」
エイアの言葉に、ユウガは困ったような笑顔になる。
そう。男は、女に痛いことを言われた時、微笑むしか無くなるんだよなあ。
「けど その為の最強の保険!エイアちゃんが」
「あたしはもうやんないし あんたに何があっても助けないよ」
明るい調子のユウガの言葉をさえぎり、エイアは冷たい目で答えた。
この2人の関係は、今いち掴みにくい。
しばらく沈黙が続くが、エイアは吸っていたタバコを灰皿に押し付けた。
「あー なんか空気悪くしたね」
エイアはそう言うと、上着を着て、カバンを手に取る。
「帰んの?」
誰がどう見ても帰る雰囲気だが、あえて聞いたようにユウガはエイアを見上げる。
「ん ごゆっくりー」
エイアは自分の飲み代を卓の上に置き、居酒屋の廊下をすたすたと歩いて行く。
「あの 追った方が」
タバコを吸い出したユウガに、アヤカが恐る恐る聞いた。
「無駄だろ」
ユウガが何か言う前に、俺が答えた。