0006 豊島 アヤカ (55/64)
重い心が、軽くなった気がする。
この女に勝てれば、この女に勝てれば。
この女を越えられれば!
強い感情をエイアとの勝負に抱いたあたしは、次にセイヤを見る。
丹精に作られた顔はやっと手に入れたあたしの誇り。
セイヤを見ると思い浮かぶ言葉は誇りや宝物や絆。あたしが今まで持っていなかった、全てなんだ。
あたしの今までなんて、何も無かった!
そう、だからこそセイヤはあたしの全てなんだ!失う訳にはいかないんだ!
あたしは、この勝負に勝たなければいけない!
この勝負に勝てば、あたしは今までの弱い暗闇の自分から抜け出せる!
次はあたしの番。
「イッセーノ」
負けない!あたしは負けられないんだ!
「1!」
片手だけのエイアの指は、立っていない。
あたしも0。合計しても0の、不正解だった。
「ち」
あたしは珍しく人前で舌打ちをした。
次にエイアも勢い良く声を出す。
「イッセーノ!」
あたしの指がピクッと動く。
そして、あたしの指を注視するエイアの視線を感じる。
出したらまずい!
あたしは直感的にそう思った。
「2!」
エイア自身が指をピンと立てた。
あたしは立てていない。
切り抜けた!