【エピローグ】 (4/5)
〝これはSCM・真の説明書。
私は自ら命を絶つ代わりに、自らの死に意味を見出したい。意味のない死などない、と信じている。
その願いを込めて、自身の墓石にこの遺書を刻む。
きっかけは動物園だった。死んだ目をし、暴れるオランウータンを見た時の閃きだった。
愛玩用のペット、見世物の動物園というものは廃止できない。ならば気の持ちようで、動物の幸せを操ることはできないだろうか。
思いは些細な偽善心によるものだった。興味の追求から、片手間の研究が始まった。
やがて思いついたシステムに歓喜し、ジャマイカで心通わせた女性との対話から、私は本格的にコントロールメソッドの研究を始めた。
それが紆余曲折し、SCMという形になった。神のいたずらのように、スレイブコントロールメソッドには不可解な要素を孕み続けた。その1つが、互いの優劣を執り行う儀式、それによって宿主の上下間が決まるという要素だった。
研究のたびにそういった不安定な要素を埋めていき、少なくとも対人用に使われる想定はなかった。
むしろ、どこかで生物に使うことも諦めていた。
だが、私は研究を続けた。湧き上がる興味と探究心に、打ち勝つことができなかった。
ここに懺悔と対抗を記す。
盗用されたとはいえ、哺乳類の歯型を模したそれを見たとき、その悪用もどこか予感していた。
私が作ったSCMによって、もしも誰かが被害をこうむり、私の名前まで辿り着く者がいれば、この言葉を心に刻んで欲しい。
どうか、嘆きに負けるな。