【エピローグ】 (3/5)

──晩夏のある日。僕は都内某所にある墨田教授の墓を訪ねた。


辺りは残暑の熱気と陽光、そしてセミの鳴き声。


ミソハギを持って敷地内に入ると、墓の前に1人の女性が立っていた。


喪服の出で立ちに、顔には未だ解いていないガーゼと包帯。


千代田マリヤだ。


事情を聞くと、縁ある女性のことを調べるうちに、この墓の場所にたどり着き、今日初めて来たと言う。


タキオの奴隷になる直前、千代田マリヤはこの場所を、その女性に伝えていた。


墓には、千代田マリヤにも覚えのない枯れかけた葉っぱの束と、ジャマイカの国旗、そして洋酒が手向けられていた。


葉の束は花束の代わりに見える、それにしてもこの葉どこかで……。


七股に分かれたギザギザの葉。今は黄ばんで、乾燥しているが。乾燥……? いや、まさか、嘘だろ。


僕は葉を触った指を、思わず拭いた。毒性はないと聞いているが、やましさから葉についた指紋を消すことすら考えた。


これは……大麻だ。日本では所持・栽培・譲渡しただけで、逮捕される。


なぜこんなものを手向けた?


「……麻の花言葉は、たしか〝宿命〟」


千代田マリヤが言った。


その葉は違法。使用することによって多幸感を与える作用がある。


死者への安らぎ、宿命の誤魔化し。手向けた者の皮肉か、ジョークか、それとも。


「それより、これって……」


千代田マリヤは墓石の下を指差した。


そこには石碑があった。長文が刻まれている。


「SCM……真の説明書?」