【エピローグ】 (5/5)

スレイブコントロールメソッドは、絶対ではない、完璧ではない。


対抗できるのは強靭な精神力、前向きな心のみ。


耐え忍び勝ち行く強さだ。


嘆くな、戦え、抗え。金剛のごとき精神と、柔軟な思考があれば打ち破れる、この呪縛は。


そして、主人側の40秒間程度の心肺停止で解放が行える。


どうか、嘆きに負けてくれるな。


前向きな心があれば決して負けない。


家庭、学業、会社、社会、夢、目標、人間関係、孤独の中のアイドリング。


平凡な人生を生きていく内に出会う、度重なる逆境と何ら変わらない。


心折れようとも、社会の矛盾に打ちひしがれようとも、そしてコントロールメソッドであっても、逆境に抗うことに何ら変わりはない。


どうか、嘆きに負けてくれるな。


あなたの心が人である限り、宿命に負けることはない。


震える者を助けると書いて、私の名前を墓に刻むことを、遺言とする。


墨田 震乃助──〟



──最後に何人か、近しい人間への感謝と、〝Blessed〟という英字か刻まれていた。そして脈絡のない一文があった。




〝……私は、世田谷椿を許す。そして江東季四を心から愛した。〟




僕は墓の前で号泣した。



遅い。遅いよ。



もう遅いんだ墨田教授。



膝を着く僕を太陽が照らし、僕の影が墓石の影と同じ方角へ伸びた。



僕の泣き声とひぐらしの鳴き声が混ざり、沈み始めた空に消える。



ごめんなさい。



ごめんなさい。



……ごめんなさい。



「震乃助? シンノスケって……」



後ろにいる千代田マリヤがつぶやいた。




「あの子がいれば、何かが変わったのかな……」








【僕と23人の奴隷】
(S-Ending・デットウエディング編)
END