J000 世田谷 ツバキ (134/135)
「恐らく、そうです」
あっさりと、でも確実に、僕達はSCM……いやタキオの呪縛から解放された。
「病院の指定に、同行しろって……こういうことか」
リュウオウがそう呟いた。
「どういうことなの?」
フジコは僕ではなく、リュウオウを見た。
「仮説だったんだけど、……奴隷から解放される3つ目の方法だよ」
タキオの心肺停止。……そうか。あったな。3つ目の方法。
「第一の解放は24時間SCMを外す、ペナルティを伴う解放。第二は主人による解放の宣言」
そして、第三の解放、の可能性。
「主人の死だよ」
「主人の死? タキオ、死んだん?」
「それはわかんない。僕が言っているのは、宿主の一定時間の脈拍、心停止をSCMが認識した場合だよ」
主人にもしもがあっても、奴隷が奴隷のままだったら、状況によっては惨事にも繋がる。
ペットの躾として作られたシステムならなおさら。
……恐らく、墨田教授が設定したSCM最後の安全装置だ。
リュウオウはSCMの欠片たちを見つめたまま、こう続けた。
「ペナルティ解放も解放宣言も、そして主人の心停止による解放も、30メートル以内にいなければいけない。この病院の作り上、ICUと待合室、それに駐車場も近い」
僕より詳しいんじゃないのか、この子は。
それにしても……あのタクシー。病院についたときにすれ違ったタクシーに、ゼロが乗っていた可能性が高いな。