J000 世田谷 ツバキ (130/135)

「だから、おれは実行した」


「テメぇ、何をォ!」


「できるかできないかのギリギリで勝負するのが、男ってことよ」


ゼロが言った言葉が、僕の記憶でぼんよりと浮かぶ……どこかで、聞いたことがある。


「ゼロも奴隷なのに、え? え? どうして?」


足立シヲリの疑問。皆同じ気持ちだ。


なんだ、一体、ゼロに何が起きたんだ。皆、唖然としているが、中央が前に立った。


「よせ! ゼロ!」


「はい、動くなよ、そこの眼鏡のいい男。本当は助けたくないんだろ?」


「助けたいのはお前だ、ゼロ」


ゼロは不敵な微笑みを、中央に見せた。


「……シビれたよその言葉、ありがとういい男。いや、中央さんだったね。だが手元が狂うと、こんなクソ野朗でも死んでしまう。あんた達奴隷にとって、主人の身は絶対だろう? だからこそ動くな。これは賭けだ」


賭け?


「望みは2つ。おれが部屋を出たら、台東フジコだったな、あんたが救急車を呼べ。ここから2番目に近い病院を指定しろ。そして全員で付き添え。あのブツブツ言ってるおっさんも、預けている犬もだ」


病院を指定? 全員で?