J000 世田谷 ツバキ (127/135)

「……パパパパー」


豊島アヤカが歌い、皆がそれに続く。


「パパパパー」


同時に扉が開き、タキシード姿のタキオと、ウェディングドレス姿のアンジュが部屋に入ってきた。


「ハハッ、アハハ!」


人の死とは、人格を否定されたとときだ。人格を無視したとき、人は本当の意味でストレスを抱く。


「パパパパン、パパパパン」


奴隷たちは絶望のなか、本日3度目の結婚行進曲を歌った。


陳列した奴隷たちの間を、主人と伴侶が行進する。


新郎は満面の笑みで。新婦は虚ろな笑顔で。


僅かな熱風。彼らの手にはキャンドルソードがあった。2人は部屋の中央まで歩くと、テーブルに置かれたキャンドルに、火を灯す。


そのとき、アンジュの目下が白くなり、唇からよだれが垂れた。


直後、彼女は首を浮かせ、ジェンガのように床へ崩れた。


「え?」「なに!?」


たった数秒間の出来事。反面、今日の式を見ていればこうなったことも、どこか納得はできた。


花嫁は泡を吹き、白目を向いている。