J000 世田谷 ツバキ (119/135)
その日の夜、我々はホテルに泊まった。
密の三次会という名目で、我々20名はタキオとアンジュが泊まるスィートに通された。
各々、ベットやイス、そして床に腰掛ける。皆、ぐったりと疲れを見せていた。
なかでも目黒マサカズの様子は、式のときから気になっていた。
礼服こそ着ているものの、今もベットに座り、うつむいてブツブツと何かを呟いている。
ルージュのドレスを着た杉並ルシエは、部屋の隅で体育座りをし、そんな目黒の様子を眺めていた。
「……目黒を奴隷にしたとき、あたしは、あたしを襲った大学生たちに復讐した」
彼女はポツリと、そうつぶやいた。皆が注目する。
彼女を襲った大学生は3人いた。1人は見つけた。もう1人は彼女を襲わず、ただ見ていた。
「見ていた奴もすぐに見つけた。目黒に覆面をかぶせて、脅した。それだけにしてやった」
しかし、首謀格である港タキオだけは見つけられなかった。その矢先に、目黒とルシエは文京ゼンイチの奴隷になった。
杉並ルシエはくやしそうに唇を噛んだ。
「真っ先にあたしを襲ったのは、あいつだった。ずっと探していた。まさか、こんな形で出会うなんて思わなかった」
「あれこそ、悪、かのう……」
練馬会長の言葉。白髪が見え、この2ヶ月で急激に老いたように見える。
「あれは悪じゃないよ」
そう言ったのは荒川エイアだった。センスのいい黒のドレスを纏い、壁を背に腕を組んでいる。
渋谷サチが「なに?」と尋ねた。
荒川エイアは言った。
「をろか」