J000 世田谷 ツバキ (116/135)
同時刻、海外に逃げようとしていた渋谷サチを、タキオと豊島アヤカが襲った。逃亡は荒川エイアの指示だった。一悶着はあったが、力ずくで渋谷サチの主人代えに成功した。
北ミナミにおいては、僕と板橋ゲッコウが勝負をおこなった。
意外にも、正々堂々、真っ向からの勝負を彼女は提案してきた。
反抗して力ずくでの奴隷化を受けるのなら、勝つ見込みのある正統な勝負を。我がままで生意気な16歳の小娘、北ミナミは成長していた。
彼女は板橋ゲッコウとコイントスで勝負を行い、見事勝利、そして次にした僕とのコイントス勝負で負けた。
僕はイカサマなどしていない。確率の問題で、北ミナミは負けたんだ。
最もタキオを翻弄したのが、ズシオウマルだった。足立シヲリと中央アタルが、ズシオウマルを追っていた。
荒川エイアは、自身のSCMをあの犬に託していた。主人SCMには24時間外したときのペナルティはない。ただ、同様の条件下で、定期的に奴隷側のSCMと面会しなければ、従属する奴隷側にペナルティが起こる。
ガソリンスタンドでの一件から、傷の手当ても受けず、ズシオウマルは不眠不休で主人のいる留置所から80キロメートル離れた都心付近まで、単身で駆けていた。
GPSの反応を辿ると、目的地は東京港周辺、お台場だった。
彼は荒川エイアのSCMとともに、海への入水自殺を計ったのだ。
中途半端なSCMの破壊なら、僕が直してしまう。隠しても、僕がその気になれば探し当てることもできる。以上を知っていたのか、偶然なのか、主人の命令か。
さらに、恐らくだがペナルティ環境下の一歩手前で、死生観も狂いだしたのだろう。
主人からより離れた場所で、犬の身でできる限界の配慮をズシオウマルは実行した。
ズシオウマルを襲うはずだった中央アタルと足立シヲリは、彼を救出し、あの犬は拘束された。同時に荒川エイアのSCMも手に入れた。
フジコの働きによって、彼女は予定より早く、不本意な仮釈放となった。
結果、自身を守る術を失った荒川エイアも、帰宅する途中で港タキオの奴隷となった。
主人:港タキオ
┣奴隷:江戸川リュウオウ
┣奴隷:葛飾ジュリア
┣奴隷:新宿セイヤ
┣奴隷:足立シヲリ
┣奴隷:中野タイジュ
┣奴隷:豊島アヤカ
┣奴隷:荒川エイア
┣奴隷:ズシオウマル
┣奴隷:練馬ヨシムネ
┣奴隷:北ミナミ
┣奴隷:渋谷サチ
┣奴隷:世田谷ツバキ
┣奴隷:台東フジコ
┣奴隷:杉並ルシエ
┣奴隷:中央アタル
┣奴隷:目黒マサカズ
┣奴隷:文京ゼンイチ
┣奴隷:大田ユウガ
┣奴隷:板橋ゲッコウ
┣奴隷:千代田マリヤ
┗奴隷:品川ゼロ
以上、20名の老若男女と1匹の犬が、クソ野朗の奴隷になった。
車の後部座席で、タキオは野球用語辞典を開きながら言った。
「んー、三重殺ってやつ?」
ツッコム気にもなれなかった。